休日は創作に触れよう『シン・仮面ライダー』

※本稿は映画『シン・仮面ライダー』のネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シン・仮面ライダー』を見るまで

 仮面ライダー生誕50周年を記念し制作された映画作品『シン・仮面ライダー』。庵野秀明監督の最新作である本作は、「シン」の名を冠する4作目になります。筆者はこの『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン』『シン・ウルトラマン』は見ておらず、いわゆる「シン」シリーズの作品を見るのは初めてでした。

 視聴に至らなかった理由は単純にそれらの作品に対して明るくなかったからです。

 ゴジラは何本か見たことがあるけれど昔の事過ぎて、どの作品を見たのか分からない。エヴァンゲリオンシリーズは映画で破というのは見て、シンプルにロボット物として楽しんだが、なにやら考察がネット上に繰り広げられていて踏み込みがたい。ウルトラマンは世代的にコスモスを見て楽しんでいたが、それ以外の歴代シリーズは全く触れてこず。

 同様に仮面ライダーも世代的に楽しんだくらいでしたが、大学時代に友人の影響で他の平成ライダーもいくつか見ていたので、上記シリーズよりかはまだ知っている部類でした。

 とはいえ、『シン・仮面ライダー』は初代仮面ライダーを題材とした作品。平成ならともかく、昭和ライダーともなると楽しめるのか?

 そうした思いから、今回も視聴を見送るつもりでした。

 そんな筆者に、最近はあまり遊んでいなかった10年以上の友人から、見ないかと連絡が来ました。YouTubeに投稿された冒頭映像でグロかも…と思いましたが、せっかく誘ってくれたし、なにより久しぶりに会う友人と話したいという気持ちから、見ることにしたのです。

 

 

 

『シン・仮面ライダー』を見て

 簡潔に言うと、かなり面白かったです。

 ストーリーはかなりぎゅっと詰められていましたが、必要な話はちゃんと展開されていて分かりやすく、初代仮面ライダーを知らない自分でも楽しんで視聴出来ました。

 バトルシーンは迫力があったし、CGを使ったシーンもそれほど違和感なくカッコよかったです。

 また、俳優陣の演技も良かったです。本郷の演技は最初こそ棒読みのように感じましたが、物語の進行につれて本作の本郷猛というキャラクターにあったものだと感じるようになりました。

 今回は自分のまとめとして書いているので、ストーリーを順にみていきたいと思います。

 

 

序盤

 主人公、本郷猛がヒロインの緑川ルリ子とクモオーグから逃げている場面から始まります。YouTubeでも見ることができた冒頭のシーンですが、グロい描写はここがピークだったように感じます。個人的には助かりました。

 一度追っ手を退け、セーフハウスで何が起こっているのかを改造を施したルリ子の父、緑川博士に説明してもらう本郷。

 鏡を前に異形と化した自分を見て動揺していた後に説明を受け、すんなり納得して、なぜ自分に? と尋ねていた本郷は受け入れるの早いな、と感じました。

 博士を先生と呼んでいたのと、大学時代の君の絶望が、と言っていたので、緑川博士は表向きは大学教授、裏ではショッカーの研究員として働いていたんですかね。本郷は大学生時代に博士のゼミに所属し、卒業後も交流を続けていた、といった感じでしょうか。それでその大学時代の研究の中で、博士の研究内容やプラーナの存在をやんわりと知っていたから、説明を受けても受け入れることが出来た、みたいな。

 本郷の過去は父にまつわる部分は語られましたが、大学時代については描写は(多分)無かったので、まあ物語序盤の説明と進行で割り切られているのかもしれません。

 

VSクモオーグ

 クモオーグを追い、ルリ子を救出する本郷。ルリ子のセーフハウスにて政府の組織と同盟を結びます。

 ショッカーを倒した後の処遇については濁していましたが、仮に倒せたとしてもあんまり良い方向に持っていくつもりはなかったように見えます。でも浜辺での本郷に向けた言葉や、最後の一文字とのやり取りを見て、クウガの一条さんのような味方でいてほしいと願わずにはいられませんでした。

 

 クモオーグは退場が早くてビビりました。てっきりこの人がライバルポジションに収まるかと思っていたので、本作のファーストライダーキックの餌食になったのをみて困惑してしまいました。

 クモオーグは裏切り者の始末を担当していただけに、小型クモや張り付きを駆使した追跡能力は、他のオーグと比べても特筆すべきものでした。腕を増やす能力は、追跡にも戦闘にもあまり活きてはいませんでしたが、殺害に用いることで人間をやめたことを実感出来ていたのかもしれません。

 そう考えると殺害方法が絞殺であったのも、口から糸を吐いてのアクロバットな動きに耐えられる人間離れした首の強靭さへの自信故だったように見えてきます。

 

VSコウモリオーグ

 政府組織の情報でコウモリオーグのアジトへ侵入するルリ子。

 助けに来た本郷はあの時何かしらの策はあったんですかね。それともルリ子があらかじめ指示か通信をしていたか。いずれにせよ、この時点で本郷はルリ子の事をかなり信用しているのが見て取れます。

 ルリ子から本郷の信頼度合は物語の進行とともに上がっていくのですが、本郷からルリ子への信頼は最初からほぼMAXで、ほぼ変化していないように見えました。 

 ちょっと穿った予想ではありますが、最初はこのルリ子への信頼は、本当に本郷の本心か? バッタオーグとしての機能が関与していないか、とも思いました。

 でも、本編を見終わったら、多分、杞憂だな、と感じました。この本郷の精神性をみると、単純に本郷が素直で純粋なのだと思います。

 親しい先生の娘さんだから助ける。始まりはそうした理由で、次第にその理由は娘だからだとかは関係なく、ルリ子の力になりたいという思いに変わっていく。そして上記の通り、最初から向ける信頼度合はほぼMAXで、理由だけが変わっていくというニュアンスなのかと。

 コウモリオーグは他のオーグ達と違い、仮面を被っていないことから、最初期に改造されたオーグだったんでしょうね。戦闘能力の高さは後発のオーグには及ばないからこそ、疫病研究に精力的になっていったと予想できます。

 ただちょっと迂闊すぎた印象です。流石に感染させた人質の身体検査もしないのは、あまりにも怠慢でしょう。こうしたウイルスを使ってくるキャラクターによくある、霧状のウイルスが散布されるシーンも無しで感染させて来るのは、強キャラ感あったんですが……

 あとこれは見た時は感じなかったんですが、ルリ子の感染時の反応に違和感を持っていなかったのは、彼女が感染したときの症状をあらかじめ調べていた、ということなのでしょう。でもベルトでウイルスを無効化できるなら初めから銃パなしてよかったんじゃ?

 

 そしてショッカーを管轄するAI、アイ、その外部端末、ケイ。アイの幸福のモデルを実現するため、オーグ達がおのおのの派閥として活動しているというあり方は敵組織としてはあまり無いような気がします。

 コウモリオーグのアジトでルリ子がケイに対して何もしなかったのは、ケイが複数体いる、もしくはスペアがすぐに補充されるみたいな感じなんでしょうか。いろいろなオーグの派閥を観察していることを考えると、複数体いる説の方が筋が通りやすい気がします。どちらにしろ、現状はケイを倒しても大きなメリットは得られないということなのでしょう。

 

VSサソリオーグ

 本作で唯一主人公に対面しなかった敵、サソリオーグ。本郷達に協力する政府の組織たちに銃で撃退されてしまいました。部下の女性戦闘員が盾を持ってない後ろから撃たれてやられてたのを見て、まさか…と思ったら本当にそのままやられてしまって笑顔になりました。

 今思うとルリ子が、サソリオーグの毒には対応出来ない、と言っていたのが、ハチオーグ戦のトドメの伏線だったんですね。

 コウモリオーグと違い、研究をしている様子が無かったので、毒の生成は彼女自身が体内で行っていたのでしょうね。オーグにも通用する毒、と考えると、政府側が所持する武装としてかなり強力すぎる気もします。

 

 あと演じていたのが長澤まさみだったのに、友達に指摘されて気が付きました。あのハイテンションな演技は自分の持っていたイメージには無かったので、俳優としての技量に感服しました。

 

VSハチオーグ

 次なるターゲットはルリ子と一番親しかったオーグ、ハチオーグ。

 とにかくバトルシーンが良かったです。派手スーツ部下とのツーマンセルも、その後の高速戦闘も大満足でした。

 始めの商店街で少しずつ人が集まって整列する様子は、どこかホラー作品のような、日常を侵食されているような怖さがあって良い演出だなと思いました。でもこれコウモリオーグの疫病と多人数を操るって部分はかなり被ってるな……

 ハチオーグの、自分はルリ子をあだ名で呼びながらも、ヒロミと呼ばれるとハチオーグだと否定していたところを見ると、自分が非戦闘員であったことにコンプレックスがあったのかもしれません。彼女も元々はルリ子のようにショッカーの道具として育成されていながら、ルリ子のような高い能力を持っていなかったから、オーグの戦闘員としての価値を見出した、とか。

 しかし、彼女の洗脳能力は彼女自身ではなく、アジトのサーバーによるものであったことを考えると、オーグになる前にそうした洗脳による管理の研究をしていて、その上で自衛が出来るよう、オーグの力を欲したのでしょうか。

 彼女の死に際の言葉や、戦闘時のルリ子への思いを見るに、彼女のルリ子への思いは倒錯的でありながらも本物で、友情と言えるものだったのかなと思います。だからこそ、すでに実害を起こしてしまっていることから、政府組織にトドメを刺されてしまうのは悲しい。もしかして仲間になってくれるのでは、と思っていたので残念でなりません。まあでも仲間になるとちょっと扱いづらいか……

 

 そういえば、このあたりでルリ子の生体電算機という能力が明らかになりました。目で見た映像を直接脳にインストールできるとのことですが、冒頭でクモオーグがルリ子の目をつぶそうとしていたのは、この能力があったからなんですね。

 

 あと関係ないですが、エンドロールにワイン監修?監督?だったかの項目に一人名前があったのですが、たぶんハチオーグの時しかお酒出ていませんでしたよね? サソリオーグの時も出てたっけ。

 

追記

 上記では考えていませんでしたが、Twitter等を見ていたらヒロミはルリ子と同じような生まれと育ちかもしれないという考察を見かけて、確かにと思いました。

 そう考えてみると、彼女からのルリ子への感情は、友情以上のもののように感じてしまいます。

 ルリ子が彼女がハチオーグであることを知っていることから、緑川親子のショッカー離脱がオーグとなった後である可能性は高いように思えます。もしそうであるなら、ヒロミがハチオーグであることを誇示したのはコンプレックスによるものではなく、ルリ子がショッカーを抜けたことへの当て付けようなものだったのかもしれません。

 どうして一緒にショッカーで生きてはくれないのか、なぜ私ではなくその男なのか、今まで同じように生きてきたのに、どうして私を置いて行ってしまったのか。にも拘らず、どうして今も自分の事をヒロミと呼ぶのか。

 彼女がルリルリと呼び続けたのは、ルリ子に昔のように戻ってきて欲しかったようにも見えます。

 彼女がバッタオーグと共にオーグ達を倒して回っていると知った時、ヒロミは何を思ったのでしょう。

 

VS第2バッタオーグ(+KKオーグ)

 チョウオーグ、イチローのアジトへ向かい、あしらわれる本郷達。そして現れた二人目、一文字隼人。

 個人的に本作で一番好きなキャラクターが一文字でした。飄々としていながら格闘能力は本郷と同等かそれ以上。加えて度々本郷を称賛する姿勢も好感度が高かったです。このあたりの姿勢は元来のものでしょう。

 洗脳されていたみたいですが、彼に施されたショッカーの洗脳はどんなものだったのでしょう。過去の記憶がいっぺんにやってきて、涙を流しているのを見ると、彼の過去も詳しく見たかったと思うのは欲張りですかね。あの精神性が形成されるのは、かなり特殊なバックボーンがあると思うのですが。

 バッタオーグに改造されたのは、ジャーナリストということでショッカーを調べているところを捕まり、調べたらめちゃくちゃオーグとしての才能、適正があったということなのでしょうか。

 また、チョウオーグの言うカスタムとは風を受けなくても変身できること、という認識であってますかね。本郷という敵対者の例を受けて、なんか自爆装置とかつけられてそうで、ビクビクして見てました。

 

 チョウオーグで言うと、もしも本郷は寝たと返事をしていたら、どうするつもりだったんでしょうね。怒るのか、それとも、って感じですが、どちらにしても淡々とあの態度で接してきそうですね。

 あとこれは物語を通して話なのですが、本郷とルリ子の関係がいわゆる恋愛にならなかったのが、すごく作品にあっていたと思います。

 本郷の、僕らの関係は信頼だという主張は決して変な強がりやツンデレではなく、本心だと思うし、事実だったと思います。その上で、お互いにセーフハウスでの生活も心地よく感じていたところに、信頼関係に起因する愛があったように感じます。

 故にルリ子の死は悲しいものでした。彼女の遺言のシーンは自然と涙が出ました。彼女の本郷への信頼が詰まったビデオレターは、「自分はあなたを信頼していた」という最大限の意思表示でした。

 ここの嗚咽のシーンの本郷は本当に良くて、怒りに震えるでも、絶望に打ちひしがれるでもない、だただた大きな悲しみに浸かる様子がはっきりと分かるものでした。

 政府組織の男たちとの会話で明かされる本郷の過去は、とてもつらいものでした。残された家族がどうなるかではなく犯人の心配をした、という本郷の言葉には、彼が父の死後、苦しい思いをしたことが見て取れます。

 きっとマスコミに追い回されたり、周囲やネットで犯人を撃たなかったことへの非難を見聞きしてしまったり、きっと、そんな生活の中で心をすり減らしていったのだと思います。

 それでも、あの純粋な心を持ち続けていたのは、彼のヒーロー性を印象付ける物でした。そして、2度目の大切な人を失うという経験を受けても、彼があそこで折れなかったのは、ルリ子との信頼があったからだと思います。

 

 そしてこれまでちらと匂わせていたカマキリ・カメレオンオーグ(以下KKオーグ)。

 本作に登場する敵オーグの中で一番好きです。カメレオンのオーグなのに透明になるのはあくまで外套だけだったり、カマキリの要素も左腕に格納されっぱなしなところもすごい愛されキャラ感があります。

 ルリ子を視察した後、洗脳が解けた一文字に無言でしばかれるのも最高でした。一対一の対人戦で圧倒されていたのを見ると、やはり暗殺能力にスキルを伸ばしたオーグなのでしょう。まあ正直それほど暗殺に特化できているかはちょっとわかりませんが……

 クモオーグをクモ先輩と呼んでいたところを見ると、彼もクモオーグと同じ派閥、モしくは裏切り者を始末する組織に所属していたのでしょう。彼が物腰柔らかなクモオーグについて回って、先輩と呼ぶ姿が見たかったです。

 でもクモオーグの多椀であったり、KKオーグの能力であったり、彼らを改造した人はあまり昆虫との合体を生かせていない気がします。良くない方向で彼らが同じ所属説が補強されてしまいましたね。

 KKオーグの能力が今一つなのも、そもそも無理に三種の合体を目指したからな気もしてきます。創作物などでよく聞く、「今までになかった」というのは、「誰かが思いついたけどやらなかった」ことだ、という文言が思い浮かびました。

 

 オーグの改造で言うと、登場したオーグはコウモリオーグとKKオーグのカメレオンの除き、みな虫でした。緑川博士が昆虫と人間を選んだように語られていましたが、それはショッカー内での共通認識だったんですかね。コウモリオーグが古株だとすると、きっと昔はいろいろな生き物で改造してきたけど、一番虫がイイカンジ、みたいな。

 そもそもコウモリオーグがバッタオーグの跳躍距離を知っていたので、もしかしたら緑川博士の研究は広く共有されていたのかも。

 いずれにしろ、その例外であるコウモリオーグとKKオーグがあんな感じなので、まあ正しいのかもしれません。

 

VSチョウオーグ

 チョウオーグ、ルリ子の兄、イチローとの決着を付けに向かう本郷。

 通路で登場する大量発生型のバッタオーグは、いわゆる「ショッカーライダー」っていうやつなんでしょうか。口元のマスクが剥がれて見えた内部はかなりグロテスクな感じで、本郷や一文字の特異性が良くわかります。

 ここで助けに来てくれる一文字も良かったです。イチローの元へと向かう本郷を見下ろすシーンがあったので、これは助けに来てくれるぞと期待していたら、本当に来てくれました。こういうのでいいんだよ、こういうので、って感じですね。

 そして仮面ライダー2号を名乗る流れ。仮面ライダーと呼んでくれる人が全然いないのを考えると、洗脳解除の時の宣言から、改めて2号を名乗ってくれるのは気持ちが良かったです。

 

 イチロー仮面ライダー0号を名乗ったのは、ある種の意趣返しのような物だったのかもしれません。ここでの0号には、自分の強さへの誇り、そして元々ルリ子の力になっていたのはお前たちよりも俺の方が先だ、という自負が垣間見える気がします。

 イチローがとの戦闘は、序盤はエフェクトこそついていましたが、終始泥臭いものでした。こういう殴り合いのシーンは痛そうと思ってしまうたちなのですが、どこか青春物のようなさわやかさがあって見ていて応援しやすかったです。

 いまやよくある問答になった「お前に俺の何が分かる」問答への本郷の回答が、「少しだけ分かる」なのも良かったです。あそこで分かるさと言い切れないのが、本郷の優しすぎる強さだと思います。一文字は本郷に優しさと弱さは紙一重だと言いましたが、本郷は優しいからこそ強いのだと思います。

 

 そして一文字のヘッドバットによるマスク破壊からマスクを被せての決着。

 今思うとここで一文字のマスクが破壊されたところが、本郷のマスクを受け継ぐのに繋がっているんですね。見ていた時は一文字出来んくなるやん!てシンプルに思っちゃいました。

 イチローとルリ子の和解は、かなり駆け足だったと思いますが、余りそれを感じさせなかった気がします。ケイの弔いの仕草への態度や、ルリ子の死に沈痛な表情を浮かべる様子をちゃんと描写していたからかもしれません。

 イチローは母を失ったことへの復讐ではないと言っていましたが、母を失ったことを彼の中で何とか納得しようとした結果だったと思うので、復讐ではないかもしれませんが、彼の強い私怨が原動力だったのは間違いないと思います。

 ルリ子はそんな兄の姿を見て、ハビタット世界への移動を発案したのかもしれません。彼女はあそこは私の思う幸福な世界では無いと言っていたので、何らかの方法で一度ハビタット世界へ行ったのかもしれません。そこにいったことで、ショッカーの異常性に気が付いたのかも。

 

 本郷の死は個人的にかなり驚きました。昭和ライダーに詳しくはないですが、藤岡弘、が存命なんだから本郷猛も死なない、と勝手に思っていたので。

 後を託された一文字の、どこか現実を受け入れられていないような表情が、より彼の死に際の儚さを助長していました。

 その後のまた一人かよの言葉で、彼は元々孤独はそれほど好きではなかったのではと感じさせました。バイクは孤独を楽しめるから好きだと言っていましたが、孤独な自分に納得したい思いがあって、そこにバイクがうまくはまったように見えます。

 

エンディング

 チョウオーグを倒し、ルリ子からのマフラーを手放そうとする一文字。そこに現れる本郷のマスクを持った政府組織の男たち。

 マスクに残った本郷と共に仮面ライダーとして戦う道を選ぶラストは気持ちの良いものでした。きっとマフラーをした彼らは、いずれショッカーを打ち倒すのだろうという期待感に包まれます。

 政府組織はプラーナの固定化技術を獲得していましたが、サソリオーグの毒といい、今回の件で、最終的に一番得をしているのは彼らですね。でも、本郷のプラーナをわざわざ残して一文字へ渡したり、名前を明かしたりしたところをみると、一文字と彼らもうまくやって行ってくれると思いたくなる最後でした。

 

総評

 とても面白い作品でした。筆者が久しぶりに観た映画、それも映画館で見たということでちょっと色眼鏡が掛かった部分もあるかと思いますが、仮面ライダーにそれほど詳しくはない自分でも大いに楽しめる作品でした。

 魅力的なキャラクターとそれを後押しするストーリー。そして豪華俳優陣による、熱く、迫真の演技は見てよかったと感じさせてくれました。

 また、映画作品の良さも改めて感じました。自分が普段触れている創作物は小説や漫画なのですが、やはり、映画には映画にしかできない魅力があります。今度はこちらから友達を誘って映画を見に行きたいと思います。

 

 一つだけ後悔しているのは、作品とは直接関係のない私の一方的な事なのですが、この『シン・仮面ライダー』の制作ドキュメンタリーがあるらしく、その中での庵野監督がかなり荒ぶっていた、という情報を小耳にはさんでしまったことです。

 作品の出来と制作の事情は切り離して考えるべきだと思うのですが、筆者はそのドキュメンタリーを見ておらず、それへの正当な感想を持たずにネットの荒ぶっていたという情報だけ得てしまったので、変にもやもやしてしまっていました。

 ネタバレというわけではないですが、やはり創作物は事前情報ゼロで楽しみたいですね。次に映画を見るときは気を付けたいです。

 

 

 

 

 

 

 今回、なんとなく感想をまとめてみようとこうして書き始めてみたのですが、まさかこんなに書いてしまうとは思っていませんでした。いざ文字に起こしてみると、見ていた時には感じなかった気づきが得られたりしてとても楽しかったです。

 また何か見たり読んだりしたら、こうしてまとめようと思うので良ければ見てもらえると嬉しいです。

 

では。